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8020達成のためにも知っておきたい、歯を失ってしまう二大要因とは?

こんにちは、高知市高須のあさぎ歯科医院です。

今回は、歯を失う原因についてご紹介します。

毎日の食事を美味しく楽しむために、歯はなくてはならない存在です。とあるメディアの調査では、70歳台の人が健康分野において後悔していることの1位が「歯を失ったこと」でした。食べる楽しみや噛める喜びは、歯を失ってから初めて気が付く方も少なくありません。年を重ねても美味しく食事を楽しむためには何本歯が必要で、そして人はどのようなことが原因で歯を失ってしまうのでしょうか。

8020運動とは

皆さんは「8020運動」をご存知でしょうか?平成元年に厚労省(当時の厚生省)と日本歯科医師会が提唱しはじめたもので、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」というものです。自分の歯で食事を美味しく楽しむために必要な歯の本数が20本であるとされており、この本数が揃っていれば固い食べ物であっても概ね満足に噛むことができると言われています。

8020運動が始まったころ、それを達成できている後期高齢者(75歳以上)は全体の10%ほどでしたが、その後年々その割合は増加しています。最新の厚労省による調査によると、75~84歳の約半数が8020を達成できていると報告されています。

歯を失ってしまう二大要因とは

2018年に公益財団法人8020推進財団が行った調査によると、歯を失う原因として最も多く約4割を占めるのが歯周病、次いでむし歯(約3割)でした。3番目に多いのが破折ですが、この破折にはむし歯が原因である破折も含まれています。したがって、歯を失う原因の8割以上はむし歯か歯周病であると言えるでしょう。この2つの疾患について、詳しくご紹介していきます。

歯の構造から知る「むし歯」

むし歯とは、お口の中のむし歯原因菌が作り出す酸によって歯が溶かされ、穴があく病気です。いきなり歯に穴があくのではなく、はじめは酸によって歯のカルシウムやリン酸が溶け出す「脱灰」が起こります。歯は表面のエナメル質、その中の象牙質、そして歯の神経(歯髄)から構成されていますが、この脱灰はエナメル質で起こります。お口の中のpHが酸性に傾くとエナメル質が脱灰を起こしますが、通常であれば唾液の緩衝作用(下がったpHをもとに戻そうとする働き)により「再石灰化」が起こるため、すぐにむし歯にはなりません。再石灰化が起こる前に再び脱灰が起こるなど、脱灰が再石灰化を上回ったときに、むし歯になってしまうのです。

むし歯の原因と進行

むし歯の原因として挙げられるのが、細菌と糖質、そして歯の質です。この3つの要素が重なると、時間の経過とともにむし歯が進行していきます。むし歯の原因となる細菌には様々な種類がありますが、その中でも代表的なのがミュータンス菌です。ミュータンス菌は、お口の中の食べかすに含まれる糖質を分解してプラーク(歯垢)を作り出し、その中に棲みつきます。プラークに棲みついたミュータンス菌は増殖し、酸を産出します。むし歯の進行のスピードは、その人の歯の質にも大きく左右されますが、乳歯や生えたばかりの永久歯では特に進行が早まる傾向にあります。むし歯は進行状況により、C0~C4の5つの段階に分類されます。C0はまだ歯磨きやフッ素塗布などで対応できる範囲ですが、C1以上になると治療が必要にあります。歯ぐきから上の歯冠部がほとんど崩壊し、歯の根だけが残るほどにむし歯が進行するC4の段階になると治療は難しく、歯を抜かなければならなくなります。

世界で最も蔓延している感染症「歯周病」

歯周病とは、細菌の感染によって歯ぐきやその周囲の組織に炎症が起き、さらに進行すると歯を支えている骨までもが溶けてしまう病気です。初期段階では自覚症状がほとんどなくいつの間にか症状が進行している、といったことも多いことから、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。ギネスブックでも世界で最も蔓延している感染症であると認定されており、30代以上では3人に2人に歯周病の症状がみられるという報告もあるほどです。

歯周病の原因と進行

歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)です。プラークの中に棲みついている歯周病原菌が繁殖して排出した毒素によって歯ぐきが炎症を起こして腫れたり出血したりします。また、歯周病を進行させる危険因子として全身疾患との関わりが深く、歯周病原菌が糖尿病や心血管疾患、骨粗しょう症といった全身疾患に影響を及ぼすということが近年の研究で明らかになっています。歯周病は、歯ぐきのみに炎症が起きている「歯肉炎」にはじまり、軽度・中等度・重度の歯周病まで4つの段階に分類されます。歯肉炎や軽度の歯周病は丁寧なセルフケアと歯科医院での専門的なケアで症状の改善が見込めることがほとんどですが、中等度以上に進行すると外科処置や再生治療が必要になるケースもあり、それでも改善がみられない場合は歯を抜かなければならなくなります。

まとめ

今回は、歯を失う原因についてお話ししました。むし歯や歯周病は多くの人がかかっている病気ですが、しっかりと予防をすることで防げる病気でもあります。次回はむし歯や歯周病の予防についてご紹介します。むし歯や歯周病はもちろんのこと、歯を失ったあとの治療もお気軽にご相談ください。

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