こんにちは、高知市高須のあさぎ歯科医院です。
噛み合わせや歯並びを整えるためには、歯列矯正治療がもっとも有効な方法ですが、「いつ始めればいい?」「子どもの歯並びが気になるけどいつからはじめればいい?」と、治療時期を迷う方も多いのではないでしょうか。
実は子どもの頃に行う小児矯正と大人になってから行う成人矯正とではアプローチの仕方や特徴が異なります。この記事では双方の特徴やメリット・デメリットを紹介します。
■小児矯正と成人矯正の違い
同じ矯正でも小児矯正と成人矯正には大きな違いがあります。小児矯正の場合、成長期に行うため骨格がまだ成長段階にあたり、完成されていない状態です。ですので、矯正治療をすることで正しい顎骨の成長を促すことが可能になり、骨格からアプローチすることができます。顎を広げてこれから生えてくる歯の並びが正しくなるように促せるということです。
一方で成人矯正の場合、すでに成長が終わっているので骨格も完成している状態になります。骨格からアプローチすることはできないため、現状の骨格に合わせて、適切な位置へ歯を動かすという治療方法になります。成人矯正は骨格の範囲内でしか歯並びを整えられませんが、小児矯正は、将来の成長を予測して治療を行うことができます。顎骨の正しい発育を促せるというのは小児矯正の大きなメリットであり、成人矯正との大きな違いといえるでしょう。
*抜歯が必要ないケースも多い
小児矯正を受けておくことで、正しい顎骨の発育を促すことができるため、これから生えてくる歯のスペースも十分に確保できます。スペースが不十分なために行うような抜歯も必要なくなり、子どものうちに矯正治療を受けておくことで抜歯のリスクもほとんどなくなります。
■小児矯正と成人矯正の対象年齢
成人矯正はその名の通り、20歳以降、成人してから行う矯正治療を指します。成人矯正の年齢制限は設けられていないため、年齢に関わらず治療を行うことができます。実際40代〜50代の患者数も増加傾向にあるといわれています。一方小児矯正は15歳になるまでに行われる治療を指します。小児矯正は、時期によってさらに下記の3つに分類されています。
①0期治療
年齢:3〜5歳頃
②1期治療
年齢:6〜12歳頃
③2期治療
年齢:13歳以降
③の2期治療は成人矯正に含まれることも多いです。それぞれ①〜③では、治療の目的や内容に違いがあります。
■小児矯正の時期別治療目的と内容
①3〜5歳頃「0期治療」
0期治療は主に乳歯の時期に行う治療です。
顎のズレを改善し歯並びに悪影響を与える習慣や癖などを、口腔筋機能療法「MFT」を適用することで治します。 矯正装置は、口周りや舌の筋肉状態を整える「ムーシールド」や悪習慣を改善する「プレオルソ」などが使用されます。
②6〜12歳頃「1期治療」
乳歯が永久歯に生え変わりはじめる頃で、混在している時期です。矯正治療を行うのにもっとも適しているといわれており、受け口や出っ歯などの治療はこのタイミングがベストです。顎の大きさが小さく歯並びが乱れると判断される場合は、顎の正しい発育を促す矯正装置が使用されます。矯正装置は主に顎のスペースを広げる「拡大床」や、主に受け口に適応される「リンガルアーチ」などが使用されます。
③13歳以降「2期治療」
永久歯がすべて生え揃った頃に行われるため、基本的には成人矯正と同じ治療になります。矯正装置は透明のマウスピースを装着して歯を移動させる「マウスピース矯正」や、ブラケットでワイヤーを固定して歯に力をかけて動かす「ワイヤー・ブラケット矯正」などが使用されます。
■成人矯正の治療目的や内容
成人矯正は骨格的な発育を促すことはできないため、歯並びの乱れを細かく治す「仕上げ」に近い治療といえます。もちろん小児矯正を行なっていない人でも成人矯正を受けることは可能ですが、小児矯正を受けておくことで成人矯正を受ける際の負担がかなり減らせますし、治療も短期間で終わります。成人矯正治療を行う主な目的は不正咬合を治すことによる「機能性の回復」「審美性の改善」「発音障害の改善」です。
【治療の目的】
・機能性の回復
歯並びが悪い状態は、イコール噛み合わせが正しくない状態ということです。噛み合わせがズレているとお手入れもしにくいので歯科疾患のリスクも高くなり、一部の歯や顎骨にも負担がかかります。歯列矯正治療を行い歯並びを整えることで、こういった問題を改善し、機能性の回復に繋げます。
・審美性の改善
口元はその人自身の印象を決める大事なパーツであり、清潔感を表す部分です。ですので、歯並びが悪いと口元にコンプレックスを抱え、自信を持って笑えなくなってしまうこともあります。綺麗な歯並びにすることで口元の清潔感を実現し、美しい見た目を実現できます。コンプレックスが改善できれば気持ちの面でも明るく過ごすことができ、自分にも自信が持てるようになります。
・発音障害の改善
開咬や受け口などの不正咬合を持っていると声を発するときに息が漏れてしまい、タ行やサ行の発音がしにくくなります。不正咬合を治すことでこうした発音障害もなくなり、滑舌も良くなります。
【治療内容】
歯列矯正治療の選択肢は主に「ワイヤー・ブラケット矯正(表側矯正)」「裏側矯正」「マウスピース矯正」の三種です。
①ワイヤー・ブラケット矯正(表側矯正)
従来からある方法で、歯の表面にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して固定し、歯に力をかけて移動させていきます。締め付けられるような痛みを伴い、金属を使用するので見た目も目立ちますが、審美ブラケットなどを選べば審美性も改善できます。また、適応範囲が最も広く、大きな歯の移動を伴う治療もできます。
②裏側矯正
歯の裏側にブラケットを取り付け、ワイヤーを通して歯並びを整える方法です。表側矯正よりも見た目が目立たないのが最大のメリットですが、その分高度な技術を要するため、取り扱っている歯科医院がまだ少ないのが現状です。
③マウスピース矯正
コンピューターを駆使して行う画期的な治療方法です。歯型の採取もコンピューターで行うため負担が少なく、透明のマウスピースを装着することで歯に力をかけてゆっくり移動させていきます。一日20〜22時間以上装着する必要があり、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。痛みが少なく、見た目も目立たないのが特徴です。
■成人矯正のメリット・デメリット
【メリット】
✔️治療のタイミングを自由に選べる
✔️歯科疾患の予防になる
✔️自己管理ができモチベーションを保てる
✔️審美性の改善につながる
【デメリット】
✔️小児矯正よりも痛みを感じやすい
✔️歯根吸収や歯肉退縮のリスクがある
✔️骨格的な成長を促すことはできない
■小児矯正のメリット・デメリット
【メリット】
✔️悪習慣を改善できる
✔️顎骨の正しい成長を促せる
✔️成人矯正よりも痛みが少ない
✔️歯科疾患の予防になる
✔️抜歯が必要ないケースが多い
【デメリット】
✔️子どもが小さいと治療目的をうまく理解できない
✔️2期治療が必要になることもある
✔️自己管理が難しい
■まとめ
早いうちに矯正治療をしておくことで、大人になってから治療が必要になっても簡単な治療で済むケースが多くなります。自分に合った方法を見つけてみてください。