こんにちは、高知市高須のあさぎ歯科医院です。
歯並びが悪く、噛み合わせが正しくない状態を不正咬合といいますが、この状態は機能性や審美性への影響が大きく、歯列矯正治療で改善することが望ましい状態です。不正咬合を放置してしまった場合、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?
この記事では、不正咬合を放っておくリスクや具体的な治療方法について詳しく解説していきます。
■不正咬合を放っておくとどうなる?想定されるリスク
・歯科疾患のリスク増加
歯並びが乱れていると、歯磨きがしづらく汚れが落としづらくなってしまいます。磨けているつもりでも食べかすや細菌が溜まってしまい、虫歯や歯周病のリスクも高くなります。虫歯も歯周病も歯を失う原因の多くを占めている歯科疾患なので注意が必要です。
・肩こりや頭痛
不正咬合を放置するリスクはお口の中だけに生じるものではありません。噛み合わせや歯並びが悪いと、顎に必要以上の負担がかかってしまい、継続されると首の筋肉が緊張を起こしてしまいます。頭痛や肩こりなど、全身の不調にも繋がるので早めの治療が必要です。
・発音障害
受け口やすきっ歯などの不正咬合は、一部の音を発音しにくく、発音障害を起こす可能性があります。滑舌の悪さが気になっている方のなかには、歯列矯正治療を行うことで改善されたケースもあります。
・胃腸への負担
噛み合わせが悪いと食事をする際にしっかり噛むことができません。食物をすりつぶして細かく噛み砕くのが、難しくなるだけではなく唾液の分泌量も減ってしまいます。こういった状態が継続されると消化機能が劣り、胃腸にも負担がかかってしまいます。
・口呼吸
出っ歯や開咬と呼ばれる不正咬合の場合、お口を閉じにくくなることも多く、口呼吸になりやすくなります。口呼吸になるとお口の中が乾燥して唾液の分泌量が減り、口臭トラブルを起こしたり、歯科疾患などのリスクが高くなります。
■不正咬合にも種類がある!特徴や原因
不正咬合は遺伝的要因や先天的要因、あるいは後天的要因により、歯列が乱れていて噛み合わせが悪い状態のことを言いますが、不正咬合といってもその特徴によって分類されています。
それぞれの特徴や主な原因を見ていきましょう。
・上顎前突
上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、別名「出っ歯」などと呼ばれる不正咬合です。遺伝的な要因も大きいと言われ、上の前歯や上顎全体が前方に向かって突き出している状態です。お口が閉じにくく、審美性にも影響を与えるのでコンプレックスを抱えやすくなります。遺伝的な要因以外でも、指しゃぶりや舌癖などの後天的要因によって生じることもあります。
・下顎前突
下顎前突(かがくぜんとつ)は、別名反対咬合や受け口と呼ばれ、下の前歯や下顎全体が前方に突き出ている状態です。発音をうまくできなかったり、咀嚼機能が低下するなどの症状が見られることがあり、度合いによっては審美性にも大きな影響を与えます。遺伝的な要因も大きいものの、口呼吸などの癖・悪習慣も原因のひとつと考えられています。
・叢生
「八重歯」も含まれる叢生(そうせい)は歯が重なり合っていたりバラバラに乱れて生えている状態の歯並びです。不正咬合のなかでもっとも多くの人に見られるもので、顎と歯の大きさのバランスが悪いことや歯が綺麗に生えるためのスペースが不足していることから生じると言われています。歯の大きさなどの遺伝的な要因も関係していますが、顎骨の発達不十分や歯の生え替わりの段階で何かあったことが原因になるケースもあります。
・空隙歯列
空隙歯列(くうげきしれつ)は、「すきっ歯」と呼ばれ、歯間部の隙間が一定以上あいている状態です。歯間部の広さは人によって異なりますが、発音障害が見られたり、食べかすが挟まるなどの原因から歯科疾患のリスクも高いと言われています。歯が顎の大きさに対して小さいことから生じる不正咬合なので先天的要因も大きいですが、癖や習慣なども原因のひとつとして考えられています。
・過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう)は、別名「ディープバイト」と呼ばれ、下の前歯が上の前歯で覆い尽くされてしまう噛み合わせが深い状態です。前歯でうまく噛み切ることが難しく、顎にも負担が大きくなります。上顎と下顎のバランスが悪いことから生じる不正咬合です。
・開咬
開咬(かいこう)は、長期に及ぶ指しゃぶりや咀嚼回数の少なさが原因で生じる不正咬合です。奥歯を噛み合わせても前歯は開いてしまう状態で、別名「オーブンバイト」とも呼ばれています。口をうまく閉じられず隙間があいてしまうため、ドライマウスを引き起こしやすく、滑舌も悪くなるリスクがあります。
【不正咬合の原因のポイント】
✔️乳歯から永久歯への生え替わり時の早期脱落
✔️口腔習癖
✔️歯の大小
✔️口呼吸
✔️遺伝的な骨格
■不正咬合を治すにはどうすればいい?
不正咬合を治すには、歯列矯正治療をすることになります。悪い癖や習慣などが原因で生じることもありますが、そういったことを改善しただけでは不正咬合は完全に治すことができません。特に大人の場合は成長期が終わり骨格も完成されてしまっているため、生活習慣を改善しただけでは治せないのです。不正咬合をしっかり治すには歯列矯正治療を受けて専門的なアプローチをしていきましょう。
■歯列矯正治療の種類
不正咬合を治すための歯列矯正治療の種類は主に、ワイヤー矯正とマウスピース矯正に分けられますが、ワイヤー矯正はさらに表側矯正と裏側矯正に分けられます。それぞれのメリット・デメリットは下記の通りです。
①ワイヤー矯正(表側矯正)
従来からある治療方法で、歯の表側にブラケットと呼ばれる器具を装着して、ワイヤーを通し固定します。そうすることで歯に力をかけて歯を正しい位置に移動させていきます。適応範囲が広く、扱っている歯科医院も多いのが特徴です。しかし、痛みを感じやすく矯正装置が目立ってしまうのがデメリットです。審美ブラケットを使えば装置を目立たなくすることは可能ですが、費用は高額になります。
②ワイヤー矯正(裏側矯正)
歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着して歯列を整える治療方法です。取り付けるのが裏側なので矯正装置は目立ちませんが、高度な技術を要するので表側矯正よりも取り扱っている歯科医院は少ないのが現状です。
③マウスピース矯正
①②と比較すると新しい治療方法で、透明のマウスピース型矯正装置を歯に一日20〜22時間以上装着して歯を正しい位置に移動させていきます。ワイヤー矯正よりも適応範囲が狭いものの、痛みも少なく矯正装置も目立ちません。
どれも特徴が異なり、症例の適応範囲、費用相場が異なるので自分に合ったものを歯科医師と相談しながら見つけてください。
■まとめ
自分で正しい噛み合わせや歯並びだと思っていても、実は不正咬合の一種に当てはまるというケースもあります。自分の歯列や噛み合わせの状態が気になる方は一度歯科医院でしっかり診てもらいましょう。