こんにちは、高知市高須のあさぎ歯科医院です。
「歯並びが良い」「歯並びが悪い」という基準をみなさんはご存じでしょうか?なんとなく見た目だけで判断している方も多いかもしれませんが、良い歯並びかどうか見極める基準があります。
この記事では理想的な歯並びの定義や、歯科矯正(歯列矯正)で治せる不正咬合について解説します。
理想的な良い歯並びとは?基準や定義
良い歯並びといっても理想は人それぞれで、イメージする歯列には個人差があると思います。矯正治療の観点から考える理想的な歯並びの基準は「痛みや違和感がなく、噛み合わせに問題がない」状態をさします。
具体的に良い歯並びかどうかを見極める方法は下記を参考にしてみてくださいね。
- ・口を閉じた時、上前歯が下前歯を覆う形になる
- ・口を「イ」の形にした時、上下の歯の位置がそろう
- ・横から見た時に歯が突き出ていなくて、アーチを描いている
- ・歯と歯の隙間が適切である
上記に当てはまる状態が、矯正治療の観点から考えられる一般的な「理想的な歯並び」の基準の一つです。自分の歯並びが正しいのかどうか気になる方は、自宅にある大きな鏡で上記の項目に当てはまるかチェックしてみましょう。該当していれば現在の歯並びに問題はみられず、理想的な状態といえます。
歯並びが悪いのを放っておくリスク
歯並びが悪いのは見た目にだけ影響するわけではありません。審美性が損なわれるのはもちろんですが、歯列が凸凹していることでブラッシングしにくい箇所ができて食べかすが溜まってしまい、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
さらに、歯と歯の間に大きな隙間があると歯が飛び出たり歪んでしまうということが起こるリスクがあります。現在歯並びに問題が見られず、良い状態でも歯列は年齢とともに少しずつ変化していくため、年齢を重ねてから歯列が悪化してしまうケースもあります。鏡を見たら意識してチェックする癖をつけておくと良いでしょう。
矯正で改善できる不正咬合の種類
不正咬合には状態によってさまざまな種類があります。それぞれ原因や起こりうる影響などは異なります。
受け口(下顎前突/反対咬合)
下顎全体または下顎の前歯が前方向に突き出ている歯列の状態を指します。遺伝的な要因によって起こることもありますが、後天的な要因が関係することもあります。
たとえば口呼吸や舌の癖などが影響して引き起こされることもあります。受け口の程度が重いと食べ物をうまく噛み潰せない咀嚼障害や、口が閉じにくくなることで発音障害といった症状が出ることもあります。
過蓋咬合(かがいこうごう)
上下の歯を噛み合わせた際、噛み合わせが深くなり、下の歯のほとんどが見えなくなるほどに上の歯が覆い隠してしまう状態です。上顎と下顎の大きさのバランスが悪いと起こりやすいとされている不正咬合です。
場合によっては前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなったり、顎に負担がかかり顎関節症になりやすいなどの症状が出ることもあります。
開咬(かいこう)
上下の歯を噛み合わせた際に、前歯が噛み合わず隙間が開いてしまう歯列の状態です。小さい頃からの癖になっている指しゃぶりなどが原因で起こるケースが多いといわれています。
前歯が噛み合わないので、その分奥歯に負担がかかりやすくなり、お口の中が乾燥しやすくなったり、空気が抜けてしまうことで滑舌が悪くなるなどの症状が出ます。
すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に隙間ができている歯列の状態です。審美性にも大きく影響します。顎の骨の大きさに対し歯が小さい、歯の本数が不足している、といった場合に起こる不正咬合です。
隙間が通常よりも大きいため、歯の隙間に飲食物による汚れが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなり、空気が抜けることで発音障害などの症状が出ることもあります。
叢生(そうせい)
八重歯なども含まれ、歯並びに凹凸や重なりがみられる歯列です。顎の骨の大きさと歯の大きさのバランスが合っていなくて、歯が綺麗に並びきるだけのスペースが不十分な場合に生じます。日本人のなかでもっとも頻度の高い不正咬合といわれており、全体の約4割を占めるともいわれています。
出っ歯(上顎前突)
上顎全体が、あるいは上顎の前歯が前方向に突き出ている歯列の状態です。遺伝的要因から生じるケースも多い不正咬合ですが、指しゃぶりや舌の癖など、後天的なものが原因になることもあります。
出っ歯の程度によっては、口が閉じにくくなってしまい、口呼吸やドライマウスといった症状が出てしまいます。また、そういった症状から虫歯や歯周病のリスクも高くなります。
交叉咬合(こうさこうごう)
上下の歯を噛み合わせた際に、部分的に上顎の歯より下顎の歯が前に出ていて咬み合わせが反対になってしまう状態の歯列です。遺伝的な要因によって上顎が小さく生じるケースもありますが、後天的な原因もあるとされています。
口呼吸や頬杖、指しゃぶりなどが原因となり、引き起こされる可能性もあります。下顎が動かしにくくなることで、顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクもあります。
歯並びが悪くなる原因
不正咬合を招く原因は大きく分けて2つあるといわれています。ひとつは遺伝など持って生まれたものによる先天的要因で、もうひとつは習慣や癖が原因になる後天的要因です。それぞれ具体的にどのようなものなのかを見てみましょう。
先天的要因
両親から子どもへは、顔貌、身長、声など様々なものが遺伝します。遺伝するのは歯並びも例外ではありません。噛み合わせも親から子へ遺伝するものの一つです。遺伝する可能性があるといわれているのは歯の大きさや顎の骨の大きさ(骨格)、歯の本数などです。
顎の骨が小さく、歯そのものが大きいと、全ての歯が綺麗に並びきるためのスペースがなく、歯並びに凹凸が生じる叢生や、受け口などの不正咬合を招きます。日本人は特に、欧米人に比べて顎の骨が小さい傾向にあり、歯並びが悪くなりやすいといわれています。
後天的要因
不正咬合になるのは、生まれたあとの生活習慣や悪い癖が関係しているケースもあります。指しゃぶりや頬杖、爪や唇噛む、舌を前に押し出すなどの癖は歯に一定方向の力が加わってしまいます。
また、人間の呼吸は鼻呼吸が正常な状態といわれていますが、口呼吸になってしまっている人も多いです。口呼吸をしていると舌が下方に落ちてしまい、顎骨が未発達の場合だと歯並びに影響が出てしまいます。柔らかいものばかりを食べて噛む回数(咀嚼回数)が減ってしまうのも、顎の骨の成長が不足して不正咬合の原因になるので注意が必要です。硬いものを避けて柔らかいものばかり食べず、よく噛んでたべることを意識してみましょう。
食いしばりや歯ぎしりも、想像以上に歯に強い力が加わって負担を与えてしまうため歯列にも影響します。特に成長段階にある小さいお子さまは、癖や習慣が歯列に影響を与えてしまうリスクが大きいため、早い段階で改善してあげる必要があります。
まとめ
自分の歯列が良い状態か悪い状態かを知ることで、どこをどのように治せば良いのかわかってきます。とはいえこの記事で紹介した基準や判断方法はあくまで目安ですので、自分の歯列に関する詳細や治療方法は、歯科医院でしっかり診てもらうようにしましょう。