こんにちは、高知市高須のあさぎ歯科医院です。
お子さまの歯列矯正、いわゆる小児矯正には大人の矯正では得られないメリットがあります。この記事では小児矯正のメリットとデメリットや、注意点について解説していきます。
永久歯に生え変わり始める時期に歯列矯正をはじめることは、お子さまの生涯にわたってお口の健康を守ることにつながります。
小児矯正をおこなうタイミング
人生において小児矯正をおこなうタイミングは大きくわけて3つあります。
- ・3〜5歳頃からはじめる「0期治療」
- ・6〜12歳頃はじめる「1期治療」
- ・13歳以降にはじめる「2期治療」
13歳以降にはじめる2期治療は、大人と同じような矯正治療になります。0期治療と1期治療をうけることで、子どもならではの歯列矯正が可能です。
小児矯正のメリット
口呼吸を改善し鼻呼吸を促せる
人は口を閉じ、鼻で呼吸する鼻呼吸が通常です。しかしあらゆる要因により、口呼吸になってしまっている子どもが増えています。口呼吸は歯並びや噛み合わせに影響を与えるだけでなく、全身の健康にも悪影響を与える可能性があります。ですのでお子さまの口呼吸はなるべく早く改善してあげることが重要です。歯列矯正と並行してお口まわりの筋肉や舌のトレーニングをおこなうと口呼吸を改善し、本来の鼻呼吸を取り戻せますよ。
顎の骨の成長を促しつつ歯列を整えられる
顎骨の正しい成長を促せるのは、小児矯正の最大のメリットともいえます。大人になってからだと骨格が完成してしまっているため、発達を促すことは困難です。しかし小児矯正では奥歯や前歯を正しい位置に移動させ、成長機能を誘導して上の顎、下の顎の骨格的なバランスを整えられます。顎の正しい成長を促すことは小児矯正の大きな目的ともいえます。
大人の矯正治療と比較すると比較的痛みが少ない
大人になってからおこなう矯正治療とは異なり、小児矯正は永久歯に生え変わり始める時期に行うことができます。この時期の顎の骨はまだ成長段階にあり、完全に固まっていないため、大人になってから矯正治療をするよりも歯が動くときの痛みが比較的少なくなるとされています。また、比較的効果が現れるのも早い傾向にあるといわれていますよ。
虫歯や歯肉炎(歯周病)の予防にもなる
歯肉炎や虫歯を予防するためにはプラークをきちんと除去することが重要です。しかし歯並びに凹凸があると歯ブラシの毛先がうまく届かず、汚れが残ってしまいます。凸凹の歯列を整え噛み合わせを整えることでブラッシングがしやすくなり口腔内を清潔に保てるので、結果的に虫歯や歯肉炎を予防できるというわけです。
抜歯なしで矯正治療を行えるケースもある
矯正治療ときくと抜歯が必要になるというイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、小児矯正は顎の骨が成長途中にある時期におこないます。ですので、必ずしも抜歯が必要になるというわけではありません。
小児矯正のデメリット
お子さまのモチベーションが大切
自分で取り外しができる矯正装置も多いので、お子さまが矯正治療に前向きではないと計画通りの結果が得られない可能性があります。大人になってからおこなう矯正とは異なり、保護者の方の考えで矯正治療をおこなうことが多くなります。歯科医師や歯科衛生士だけでなく、ご家族がサポートすることで、お子さまの治療に対するモチベーションを維持することも重要です。
治療期間が長くなる
お子さまの歯並びによりますが、骨の成長を誘導しつつ、乳歯から永久歯への生えかわりを確認していく必要があるので、成人矯正と比較すると治療期間が長くなるケースがあります。個人差はあるものの下顎の骨の成長は15歳前後まで続きます。受け口傾向がみられるお子さまの場合は特に長い期間の経過観察が必要になることがあります。
一時的に見た目が悪くなることがある
矯正装置には種類があり、装置によっては見た目が気になることもあります。また、治療の途中経過で一時的に歯列が乱れた状態になることもあります。矯正装置が見えて気になるという問題は、カラーゴムなどを使用してファッションのひとつとして捉えると、治療も楽しめるかもしれません。
2期治療が必要になるケースも
1期治療で矯正治療をしても、細かい歯のねじれや乱れを治すことは困難なため2期治療が必要となることが多いです。さらに、小児矯正をしても成長段階にあるので想定外の成長で骨格的な問題が解消しないというケースもあります。こういった場合は大人になってから再度矯正治療が必要になるということを覚えておきましょう。
丁寧なブラッシングしないと虫歯のリスクが上がる
口腔内に接着剤を用いて装着する固定式の矯正装置を用いた場合、歯ブラシを丁寧におこないしっかりケアをしないと虫歯のリスクが高まります。歯科医師や歯科衛生士の判断を仰ぎ、正しいブラッシング方法を身につけて習慣化しましょう。
小児矯正で注意すべきポイント
①食事内容を工夫し、甘いものや間食は控える
矯正治療中は、食事に注意する必要があります。硬いものやキャラメル、ガム、お餅といった歯にくっつきやすい粘着性の高い食べ物は控える必要があります。特にワイヤー矯正の場合は歯に固定されている装置に引っかかってしまい、外れてしまうリスクがあります。また、砂糖が多く含まれる甘いものをたくさん接種すると当然その分虫歯のリスクは高くなります。特にお子さまの場合は習い事や学校帰りに行かれる際にちょっとしたおやつや間食を食べる機会も多いので、親御さんが気にかけてあげる必要があります。とはいえお子さまの食事の楽しむ機会を奪わないように気を付ける必要もあります。
硬めのものを食べるときは細かく切り、外出時に甘いものを食べたときは歯磨きをできるようにするなど工夫できると良いでしょう。お子さまにとって矯正治療が苦にならないように配慮してあげましょう。
②ケアは一緒に行う
矯正治療中はお口の中が虫歯になりやすい環境になっているため、オーラルケアは非常に大切です。特にワイヤー矯正の場合は歯ブラシだけのケアでは磨き残しが出てしまい、ケアは不十分になります。歯間ブラシやスポンジがついたフロス、ワンタフトブラシなど、補助的な清掃グッズも併用していきましょう。
また、歯科医院でも矯正治療中の指導がおこなわれますが、親御さんもしっかり理解してお子さまと一緒におこなってあげるようにしましょう。お子さまの場合大人とは違って手先がまだ器用ではないので、思ったようにケアできないことも大きくなります。仕上げ磨きを取り入れて、積極的にケアに関わりましょう。
まとめ
大人になってからおこなう歯列矯正は噛み合わせを整えることを大きな目的としていますが、小児矯正はそれだけでなく、顎骨の成長を促すことができます。お子さまの歯列矯正をお考えの方はぜひ一度歯科医院に行って相談してみましょう。